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(愁)
~今にも終わりそうな小説掲載サイト~
Author:水瀬愁

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 力量が最低級であるバーニングレオ・ディオスは、オウに報告に参っていた。
 主は全部で三人。同胞であるのはその内の一人のみだが、血族などという制度は存在しないため三人ともを主として崇拝する形式である。
 バーニングレオ・ディオスの細胞の元となったものは、鋼鉄である。鎧の騎士だ。
 ジェネラル・ディオス。その手は槍も斧も剣も繰る。なぜそのように多彩な必要があるのか、答えは簡単――斧で届かぬことは槍で、槍で捌けぬことは剣で、剣で足りぬなら斧でへし折る。
 完全たる武とは、このジャネラル・ディオスのことを言う。
 バーニングレオ・ディオスと同格、つまり主格ではない者はこの場には後二人いる。黄泉という少女と、黒曜という男児だ。
 二人とも美形である。バーニングレオ・ディオスと同等の地位でありながら、バーニングレオ・ディオスのような猛獣じみた容姿を全然していない。
 というように、この場には合計で六人がいた。
 主の残る二人の容姿については、簡単に描写がつく。
 一人は、スライム
 一人は、ストーン
 どちらも、飛沫が集まったような、どこがコアか見分けられない肉体を形作っている。
「――報告は、以上です」
 バーニングレオ・ディオスが口を閉ざす。
 直後、水のがフフリと笑った。
「まんまと騙されてきたのだな」
 そして礫のが賛同する。
「脅威であるのは、天使エンジェルの余力がどれ程かわからぬ辺りか。天使の舞台パーティはぶっ潰した状態から、どれだけ修復されているのだろうな」
 ジェネラル・ディオスは、己の手で散らした八つの音について思い返す。
「最低でも最高でも、自動演奏機能が再搭載されている道理はあるまい。演奏が必須事項であるうちは、戦闘は不可能。きっとこのような手を打ってくるであろうな、自分は遠くで演奏し駒を繰る――奴らのよくやる手であろう」
 そしてゆらりと眼前に掲げた片掌を、強く握り込んだ。覇気が吹き荒れる。
 バーニングレオ・ディオスは、心臓を潰された幻覚を抱いて硬直している。
「我らが渇きは、癒える」
 黄泉、黒曜が口端を歪めた。
 特に黄泉は、元々張り付いていた妖しい美麗の笑顔をより清らかに魅せる。
「では、訪ねますか?」
 黄泉の問いかけ。
「否――彼女の地への移住を決断した」
 其処にいた総ては、異なる時間の流れに乗って、物語の幕開けに向かったため。


 対し、出迎える総数は、一から四に。
 一は、前戦と同じ、剣を扱う女闘神、仙童神姫である。真っ直ぐ来訪者たちに向いているのが、まるで全てを見通しているかのような不気味さを醸し出す。
 二は、獣においてこれ以上のものはないだろう巨大さを誇る男。大猩猩を思わせるその猛獣は、複合兵装超高機動プロヴィデンスシステムブロックを自在に遠隔操作してどんな敵もチェスゲームのように討つ。
 三は、少女。若い、というより幼い。身長が低いのだ。その容姿は和服に包まれており、手に握られた高等な魔術杖と文化が錯誤している。
 四も、少女。対戦車ビリビリレイキ発射器筒ューブを似合わぬ小柄な身の丈にしょっけている。
 四の少女が言う。
「ママぁー。あいつら倒すの?」
 神姫は小さく笑いかけるように、応じる。
「ああ、ぶっ潰すよ」
 それが開戦の狼煙となった。


15.


「我らの狙いはこの世界であり、貴様らとの戦闘では無い」
 四と六が対峙する此方の空とはだいぶ離れたところに、くっきりと見えるそれは八つの暗い流星が見える。
 それは地球に降り注いで来ている。それが直撃すれば、地球の表面は荒地に還るだろう。
「……我々は、時間を稼がせてもらう」
 主三つとそれに仕える十一、計十四がこの場に居れば総力戦であった。だが実際には、六しかいない。別の場所で八が活動している事実と繋げば、ここの戦闘が陽動であると気づくのは容易い。
「世迷い言もたいがいにしておけ」
 だが神姫ブリュンヒルデはその脅威を、軽く一蹴した。
 なぜなら、音楽が鳴り響いているから。
「演奏中はお静かに、と教わらなかったのか」。
「――修復が行き届いていたか」
 流星が行う世界への打突がすべて弾かれたと見て、ジェネラル・ディオスが一歩前に出た。
 遠くにいる六つが合流してくればより敗色が薄くなるというのに、世界侵略側てきはもう斬り合うつもりでいるのだ。
「まあ待て。まだ一つ、前菜が残っている」
 逆に、遠くの六つが合流するより早く斬り合いをはじめたいはずの世界守護側こちらが止めに入る。
 神姫の言葉を合図とするように、地が崩壊の悲鳴をあげはじめた。


「君の協力分、私も頑張るつもりだから、君も私の協力分、圧倒的にたのむよ――チョコ」


 次の瞬間、閃光が弾けた。
 空間を引き裂き、彼方かなた此方こなたを繋ぐ光の瀑布。
 広がった光が一点に収束する。空間の修復作用が、強引に切り開かれた世界を元の姿へと戻す。


「できるわ」


 颶風を薄く鋭く延ばし、手刀に絡めている彼女。
 彼女の登場を賛美するように、周りの風も弾んで吹き去っていく。
 彼女の吐息は、闇でできていた。
 影が纏わりつくような彼女の衣装も、妖しく黒い。闇と同等に光があるというのは事実のようで、彼女自身は雪かと思われるほどに真っ白い。瞳は風が羽を伸ばす青の聖域に染まり、髪は最高の非鉄金属という形で人を惑わせたり、天空から大地へゴロゴロと轟音をたてて激昂の思いを叩きつけるこんじきである。
 彼女は精霊でできているかのように美しい。
 彼女は、チョコ・L・ヴィータ、悪魔デビルに魅入られ、亡霊ファントムに憑依され、力を求めるが故に女神に牙を剥いた者。
 その彼女が女神と肩を並べて闘おうというのだ。
 ――天使の舞台の魔術きせきは、今まさに至高を極めたり。
 これより紐解かれる魔術の内容は、究極 の評価でも足りぬかもしれない。
 だが魔術の下、神含む十一の者らによる合戦メインディッシュへと物語は突き進む。


 初撃を名乗り出たのは、黄泉。
 チョコに類似した金髪碧眼。不揃いな髪が二つ結ばれているのは、何かの見様見真似みようみまねに挑戦したが失敗したということだろうか。
 その手が開放するのは、闇。
 対し矢を射るは、対戦車ビリビリレイキ発射器筒ューブ

 バリバリバリバリィィィィ!!!

「びびビーム、びびびビーム。にゃはーっ」
 拳銃弾とロケットランチャー弾が衝突するようなものだ。相打ちにすら、なりようが無い。と同等に思わせる前述の表現こそ、間違いというものである。
 "器筒"の一撃により、敵六人は緊急回避をとる。方法は横ステップ。左二人、右四人にグループが分裂する。
 すかさず、残った少女と巨男が左二人へ追撃に向かう。
「よっと」
 仙童神姫もそれに続く。
 遅れて跳んだ彼女だが、他二人を追い越す速度まで加速してしまったため先陣をきる形になる。
 未だ途切れぬ光線越しであるにも関わらず、右四人の一人:バーニングレオ・ディオスは彼女が動いたことに気づいて、そちらに牙を剥く。
 よって、それに真正面から受け応えたのはちょうど主三人。
 それとは、攻撃。
 または断罪。怨まれし胞に怨根を叩き込むような、醜き黒の極熱。
 暗く灼熱するそれを、真っ直ぐ見据える作用点チョコ
 手も触れていないに。故にそれは、チョコの新たなる力。瞳の魔力死へのチャームとでも呼べば、魔女に似合うか。
 チョコがそれへの睨みをより強める。
 同時に、炎が世界を喰らわんとするように膨らむ。そのおぞましい笑い声も強く大きくなっていく。
 決殺の威力が絶望を食するまで、ほんの僅かもかからない。


 仙童神姫の初撃だとつは、黒曜の刀のような黒棒に受け流された。
 予期していたようで、神姫の型はゆるやかに薙ぎへ繋がる。
 擦れ合う得物同士に火花が散り、その火花を頬で感じることができる至近距離で神姫と黒曜の鍔迫り合いは生じる。
 以前にあった神姫とチョコの場合とは、勝手が違う。力押しで勝つ必要がある。
 いや、他の方法もある。放棄うけながすことである。
 黒曜はさきに、その手を用いた。神姫の姿勢がぐらつき、隙が生まれる。黒曜は得物を持つのとは逆の手から闇を撃ち出し、神姫にダメージを加えた。
 互いに距離をとる。一度目の交戦は、黒曜の優勢――否、
「アールピージーに回復要員は付き物だよ……」
 神姫に生気が目で見えるほどみなぎる。黒曜が今になって気づく、小言を呟き続けている少女の存在に。
 神姫の言葉を関係させて思い至り、黒曜の中で優先的に倒すべき敵が定まった。
 それは黄泉にとっても同じ。黄泉は逸早く攻撃に移る。
 渾身の力を注ぎ込んだ掌底が放たれた。纏う闇も同様に面形となり、二重の刃がここに成立する。
 避ける暇も与えぬそれは、必中に成り上がっている。そのために、黄泉の一撃は命中した。
 闇が、夜空に浮かぶ彗星のような形に散る。幾ばくかのエネルギーが放散した証であるが、それがエネルギーを注ぎ込む対象を失ったためなのだと黄泉自身が解っていた。
 消し飛ばしたと、黄泉は確信のような感触を噛み締めていた。
 だが闇が晴れ、黄泉は愕然とする。
 神姫と同様に、迸る生気の光を体に帯びた少女は無傷でその場に留まっているのだ。
「自分自身を回復できぬ道理など、無い――」
 神姫の目に射抜かれ、黄泉は戦慄をおぼえる。
 同時、黒曜が再び神姫へ斬りかかった。
 その斬撃は闇でコーティングされ、威力が増している。
 だがその殺傷も、
「――単体しか回復できぬような道理も、言わずもがな」
 直ぐに、帳消しにされた。
 神姫が黒曜の得物を握り込む。その片手を背後まで振ると同時、パッと開いた。
 投げ捨てられた黒曜は、遠く遠くへ吹っ飛ばされることになる。だが神姫の目にそれが映ることはなく、彼女の牙はすでに黄泉へ剥いていた。
 黒曜と新たに対峙する者は、複合兵装超高機動プロヴィデンスシステムブロックを司る金剛力士。
 ――"箱"が神意を下すものを冠すなら、その同胞である彼の振るう体術は天譴を冠す。
 これより、大力をもって悪魔を降伏ごうぶく、否、
 破壊する。


 場面を戻す。此処は神姫が戦場。
 神姫の斬撃が迸り、黄泉がそれを避けんとしている所。だがその最中、黄泉はハッと目を見開いた。
 飛びずさった黄泉の体に、傷が刻まれている。間合いは読めていたはずなのに、命中したのだ。
 つまり間合いが変化したということ。神姫の愛剣グラディウスの特殊能力"気刃"とは、まさにそれである。本来は『岩をも両断する切れ味』であるが、音次元においてそれの差異はあまり表れない。
 神姫が突きの予備動作に入る。このままでは絶対に届かぬ間合いだ、あまりにも馬鹿らしい。
 神姫が打突を繰り出すと同時に、大気を凝縮するように生まれた蜃気楼――巨大すぎる有幻覚――黄昏色の破壊――【モノ・ラグナ】。
 捻り出された巨人御用達の両手剣"Busterd" Sword は、必ず届く間合いだ。
 抵抗・回避など、あまりにも空しい。
 故に神姫の一撃を、黄泉は甘んじて受け入れた。だが死を覚悟したわけではなかった。
「……頭が痛くなるね」
 攻撃後の硬直から抜け出した神姫が、呟く。
 散らばり、渦巻く、火の粉のような無数の点がそこら中で漂っている。それは生命体のように空間を這い回った後、黒く凝固して止まった。
 連なった点は怪異な文様を描いているようにも見えるが、直ぐにその形状を崩してとある一箇所に集っていく。
「これからが本番よ」
 形成されたものは、黄泉。
 黄泉は薄く笑いかけた。その輪郭では、まだ黒点がボサボサとざわめいている。


 さらに戻り、場面はチョコ・L・ヴィータによる処刑場へ。
 瞳の魔力死へのチャームのみが強敵三人を相手に踊り狂う。
 だが抵抗が無いわけではない。ちょうど今、惑星を殺す隕石ミーティアと物候を壊し尽くす水龍ノアの洪水を二者が放つ。
 その天変地異を以ってすれば、魔女神の滅炎もさすがにたじろぐ――そんな甘い現実は、微塵も許されない。
 水竜は呻くように身動ぎ、朽ちるように焼却されてしまった。隕石は丸々飲み込まれ、断末魔を叫ぶことすら無かった。
 ジェネラル・ディオスの最大攻撃力アックスは炎の閉ざす道を強引に切り開く。だが魔女神が微笑みを浮かべるだけの些細な間で、炎に開いたその亀裂も埋められてしまった。
「鉄壁の防御のような、最強の攻撃……万死を誘い、何を為すつもりだ」
 そして天変地異第二波。
「【ベリイドアライブ】」
「【ハイドロネオドラゴネス】」
 隕石群ギャラクシアと八岐大蛇ノアの大洪水 。
 これを相手に滅炎は軽く掻き消され、魔女神の存命が危ぶまれる事態へと進展する。
「フン」
 魔女神はその大いなる脅威を、挑発的な含み笑いでサッと見渡すだけ。
 それだけで――破滅は再誕した。
 数が四に増えていたことは、動体視力が高くなければ確認できなかっただろう。すぐに一つにまとまってしまったのだから。
 宇宙と神威の具現象は喰われ、天変地異第三波を未然に防ぐように業火は伸びていく。
 だが津波のように覆い被さった途端、天地へ爆発した。
 途絶えることを知らぬ怒涛の咆哮が伴う。
 新たな太陽とでも成るつもりか、その業火が世界を照らす。故に現世は今、不可解な紫色に彩られている。
「……絶望が世界を染め上げれば、まさにこのようなのだろうと連想させるような、素晴らしい光景ね」
 チョコは誰かに向かって呟いた。
 誰かは、滅炎を引き裂いて姿を現した。
「絶望で世界を染め上げる。それが貴女の望みか」
 この期に及んでさらに研ぎ澄まされた"畏怖すべき武"
 その隠された瞳は、隠しきれぬ眼光を対峙する者へ注ぐ。
 チョコは熱い雄の視線を受けたときのような色っぽい吐息を、ひとつだけ漏らした。
「世界では無くてよ」
「――なるほど。だが、その憎しみは鬼の道に通じてしまうぞ」
 愚問だ、と言うようにチョコが鼻で笑った。
 そして、己の手の中に滅炎をぽっと灯す。
「この炎が、聖なるものに見えて?」
「――なるほど」
 忌むべき神将が低い笑い声をたてる。
 呪われし炎神が、つられて微笑む。
 音楽は曲調を変えず淡々と紡がれている。
 狂気を愛撫する、不愉快なほどおぞましい恐怖を乗せて。


 だがこの二戦は、狭間に雷電があるからこそ分別できている。
 その雷電が消えれば、混雑は必至。
 どちらに勝勢が傾くことになるかは、神のみぞ知る事実。
 ――雷電が立ち消えた。
「びびビーム、びびびビーム。にゃはーっ」
 即座に、立ち込めた。

 バリバリバリバリィィィィ!!!

 それは黄泉を巻き込み、
天使エンジェル……終曲だよ」
 極太極光火線を背に、神姫が剣を掲げていた。
 彼女の声につられて見た者は、誰も気づいてはいまい。――そう予想し、天使は、曲を永久ループからはずして手始めに昂揚クレッシェンドへ。
 戦いに似合う、凛々しい旋律。神姫が行動を起こすと同時に、最高に上り詰めた。

 そう、神姫が剣を飲み込んだと同時に。

「ムふ……」
 飲み下し、神姫は、苦しげな顔ひとつせず、むしろ満足げな愉悦を滲ませて、すこし唇を三日月に曲げた。


 ――処刑場の主催者が交代したと、気づかぬ者らが気づくのは肉片と化した後だろうか。
 新たな主催者、剣闘士グラディアートルの神姫は滅さず、全てを地へ還す。
 故に世界は救われる。
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