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~今にも終わりそうな小説掲載サイト~
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6.


 力が満ち溢れる身のこなしだ。間違いない、あの少女は無傷だ。――女神は思う。
 同時に、投げナイフをやたらめったら投擲しまくった。
 投げナイフは、夜闇にまぎれて狭まっていこうとしていた包囲網を突き、幾十の爆発を生む。
 次の瞬間、安全となった空路を突き進む女神。だが、回り込んでいた魔女が死角から炎弾を放った。
 女神は背中に目でもあるのか、くるんと回転し、炎弾をバルムンクで打ち返す。打ち返された炎弾は魔女に向かいはせず、あらぬ方向へ疾駆していった。
 二度、三度、四度、五度、と魔女の投擲はつづくが女神はぎりぎり追いすがる。"打ち返す"はゆるゆると角度を鈍くし"受け流す"へ。
 だが、まだ止まらない。
 一つ二つ三四五六七八──爆音が無数に連なった。
 百五百六二三百五十――一瞬での手数が桁違いになっても、まだ連なる。
 両者、互角であるから。
 女神は残像に埋もれている。鶏卵のような見た目になるほど、速い。対し魔女は、ただ突き出しただけの両手から魔術を発動している。
 互角であるのは表向きだけで、女神の消耗は著しい。
 だが痺れを切らしたのは、魔女が先だった。急速な降下から間髪入れずに、より高めた一撃を振りかざす。
 女神も素早くバルムンクを構え、防御をかためる。だが押し負けて、摩天楼へ落ちた。
 魔女もビルの隙間まで下り、両手を構える。すれ違うことも出来ないほどの幅に、左右の壁がそそり立つ。両方ともが鏡張り、互いを映し合うために何も映さず、狭くて薄暗く、灰色に染まっている。
「どこにも、いない……ここに女神の姿が消えたはずなのに?」
 魔女はさらに下へ下へ、ついには着地してしまった。
 やはり女神の姿は見当たらない。魔女は追跡に失敗したのだ。
 魔女は、歯痒さは感じれど、よもや今の勝勢を覆されるとは思いもしなかった。ひとえに時間と比例して果て無く強化される女神のとある一手を見知っていなかったためであろう。
 その一手の名は『兵団』 王に付き従って侵略する物らの総称から取られている。
 魔女が気づいたのはたった一つだ。この場で狙われたら、ひとたまりもないだろうな。と――まさにそれが女神の策謀なのだとは、知る由もない。
 ただその刻は訪れるのみ。
「『兵団』」
 ゆるゆると、終わることもないほど途方も無く続く。連なる。
 進軍には破砕などのあらゆる破壊概念が伴われる。


 空は一面の曇、地上は寝静まる摩天楼。そんな世界では、
 数秒が経っても、阿鼻叫喚の地獄絵どころか、風景という範囲では些細な変化一つしか起きなかった。
 ……空気を、無数・・に束なって出来たひとつの震え・・・・・・が伝わる。
 では生命の数量においてはどうだろうか。
 ……それも、変化はない。
 ただ衰弱したものがあるだけで。
 ――それは魔女。
 光の照り具合で見え隠れする薄いバリアを纏っている。強固さを分厚さと比例させるとすれば、それの防御力は下の下に相当するだろう。
 だが忘れはならない注意事項がある。魔女の放つものは、魔術であるということだ。
 見た目など総て、判断材料に採用できない。
 それでも魔女の風貌が魔術の防御強度を物語る。
 魔女は、右半身は潰れていた。衣服は焦げていて、端からボサボサとしていた。片腕は変な方向に歪曲、もう片腕は所々、人皮と血肉が削げ落ちて白骨が露出していた。肩も片方潰れたようだ、服がずれ落ちている。
 両脚は穴だらけ。消えずに残っているというケースを否定するならば。
「致命傷なのであろうな……無論、私も」
 ――それは女神。
 心臓の位置が黒く濁っていた。血が固まったのだ。それほど長く二人は、この宙域に留まってただただ対峙し続けている。
 互いに回復を優先させているが故の、静寂。
 それまでにさまざまなやりとりがあったが、枝葉に囚われず要点をまとめると、とても簡単になる。
 魔女が女神の一撃を被り女神が魔女の反撃を受けた、の一文だけだ。
 それから唐突に、ベリッと女神の胸の血のりが取れた。無傷なのが曝け出される。その再始動のタイミングは、魔女と同時だった。魔女は、傷だらけまで修復した・・・・・・方の腕で指揮する。
 指揮されるのは、三種の魔術。どれしも似通った形状の炎弾だが、初期の時点で炸裂して極小の炎弾に分裂するものが多くを占めている。避ける隙間ない弾幕が女神を襲うと表記しても、語弊はない。
 残る二種のうちのひとつは爆裂する種で、避けたと思わせた後の不意打ちに用いられた。あとは女神の侵出の阻害くらいだ。
 最後の一種は、単純かつ高威力なもの。直進のみならず強力なホーミング機能すら備え、数が揃えば対処し切れなくなること必至である。
 だが、どれも決定打に相応なものであるのに魔女はそれを意図としない。ここまで綿密に練り込められた魔術の形は、束縛でしかない。
 そして、役不足ゆえに容易くその状況は成った。ならば次なる一手は即決、
 種別は"究極必殺"
「『テトラ・メメントモリ』」
 凝縮された上で極太という規模な、世界を一刀両断できる聖柄の太刀。不死者に死を思い出させる唯一無二の神罰。技術もなにもない、いやなくていいのだ。人の身では振るうことの叶わぬ得物なのだから。
 ただ其処にあるだけが"攻撃"だ。
 その攻撃は、女神が第六感を信じて回避行動を取ったために、致命傷とはならなかった。だが、女神に許されてたのが発動から顕現までの限り無く意味のない一瞬のみだったから、掠り傷となったわけでもなかった。
 片腕が焼け尽きたのだから。
「なんというトランザムライザー……まあ、歓迎しよう」
 女神は、パックリ開いた肩口から血を噴出しながら、その血を振り切る速度で滑落する。
 そして唇を浅く噛み、表情はわずかに苦く。――次の瞬間には、勝ち誇った笑みを浮かべていた。
 頭上を天井のように覆う刃、それが意味するところは、
「これのおかげで、私に雨は届かないのだから――」

 女神の呟きを読み取ったように、魔女は空を仰いだ。だがもう遅い。
 同時に、女神が残る片手でくいっと手招きの仕草をする。ほらもう遅い。
 ……今日だけで、空が何度塗り替えられたことだろう。
 此度は、どれよりも刺々しい。
 そして『伏兵』は、その名を表しにいざ行く。曇という擬態を解き、雨雲から放たれた雨のごとく。
 空気の居場所がなくなるくらい、世界は特大の通り雨に見舞われた。
 行く末は破滅しか在り得ない。
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