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~今にも終わりそうな小説掲載サイト~
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7.


 女神は勝利の余韻に浸っていた。
 四肢を失くしている様だけから、女神が勝ったとは誰が予想しえようか。
 だが、女神が勝利したのは確かだ。魔女を力でねじ伏せたのだ。
「そういや、なんで戦ってたんだっけ……あー…………忘れた。ま、いっか」
 宙域に留まるだけの力すら無いのか、女神は滑落してゆく。
 四肢を失くした理由は、なんと自滅だ。
 魔女に回避を許さぬため、女神は『伏兵』には世界全土を覆わせた。それだけでなく、威力も制限されていない。自身の安全性は軽く無視されている。
 女神は、自らを守る手段は魔女の最高の一撃『テトラ・メメントモリ』を逆に利用することで補ったつもりだったが、魔女がダメージを食らうと同時に消えてしまうとは予想していなかったようだ。『テトラ・アース』の事例があるのだから、情報は足りていただろうに。
「とまあ、そんなこんなで五体過半数以上が不満足という結果になってしまったわけだが」
 その事例と同様に、刃の雨は摩天楼を屠るより早くに掻き消えている。世界が大混乱に陥ることはないだろう。女神はこれ以上、頑張る必要はない。何も懸念せず、休養を取ることができる。いや取らなければなるまい。
 だが手段が見つからないようだった。どうしようか、と女神が呟いたとき、
 涼やかな夜風がそっと彼女の頬を撫でた。
「――っ」
 風の行く先に向いて、女神は気づいた。
 朝が、山際に迫ってきている。
 踊り狂う髪を押さえたくてうずうずしながら、女神は確信を得た。
「終わった……」
 ――事実を確かめた。
 だが事実とは、真実と表記されていないが故にえてして真実性のないものだ。
 幸いなことに、女神がそれを知るのは危機的状況下でのことではない。
 ――そして、ゆるゆると目を閉じる。
「疲れた……」
 抵抗の余地無く、女神の心は体から離別していく。
 薄れゆく女神の意識は、ひとつに束ねられていた。
 ありがとう、という一文だ。
 邂逅を果たしてからこれまでのことが、女神の脳裏を駆け巡る。
 ――始まりがあまりにも偶発的だったけれど、選ばれたせいでこんな破目になってしまったのは、
 嬉しくてたまらない。純粋に楽しかった。使命感など忘れて、ただはしゃいでいた。自分はこんなにも狂っていて、天使には似合わない。けれど天使は傍にいてくれた。戯言も信じて、私に夢を見せ続けてくれた――だからありがとうと、女神は抱く。
 おんぷてんしが見せた夢が終わるように、

 夜は明けた。
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